「自然をありのままに、克明に記録する」というコンセプトを実現するために、天野が選んだ方法は大判フィルムを用いた撮影でした。一般には、4×5インチ判(10.2×12.7cm)以上のシートフィルムが大判フィルムと呼ばれ、広く普及している35mm判フィルムや中判フィルムとは比べ物にならない描写力を発揮します。大判フィルム最大のメリットは、その情報量の豊富さであり、風景の中の一木一草の種類まで判別できるほどです。大判フィルムは、大きく引き伸ばしても精細さを損なわないため、特大の写真パネルやポスターなどの利用にも適しています。
大判フィルムの中でも、天野が主に風景写真の撮影に使用しているのが、4×5インチ判を上回る、5×7インチ判(12.7×17.8cm)、8×10インチ判(20.3×25.4cm)、そして11×14インチ判(27.9×35.6cm)、8×20インチ判(20.3×50.8cm)の超大判フィルムです。特に8×20インチ判のカラーリバーサルフィルム(ベルビア100F)は、富士フイルムが世界で唯一、天野のために製造しているものです。
大判フィルムを用いて撮影するには、それに対応する大判カメラが必要です。木製の大判カメラは昔ながらの蛇腹式で、ピント合わせやアオリの操作に熟練を要します。また、レンズや三脚などを含めた機材の総重量も相当なものになるため機動性が悪く、熱帯雨林や雪山など過酷な自然環境での撮影は困難を極めます。そこまでして天野が大判カメラにこだわるのは、「失われつつある自然を後世に伝えたい」という情熱にほかなりません。
カラーリバーサルフィルムが使用できるカメラとしては世界最大級の超大判カメラです。対応する超大判フィルムは、富士フイルムが特別に製造しているもので、一般には流通していません。使用できるレンズも、シュナイダー製のファインアートなど、イメージサークルが特に大きな超大判用レンズに限られます。8×10インチ判の2倍(35mm判の約120倍)に相当するワイドな画面に描写される自然の迫力は圧巻です。
ウィズナー8×20を使用した主な撮影
・「佐渡-海底から原始の森へ」p64~p65、p114~p115、p116~p117、p142~p143、p146~p147、p158~p159
・「ガラスの中の大自然」p78~p79、p90~p91、p102~p103、p106~p107 等
5×7インチ判の約4倍(35mm判の約115倍)に相当する超大判カメラです。4×5インチ判や8×10インチ判などの大判カメラと比べても、特にサイズが大きく重量も重いため野外での機動性は良くありませんが、フィルム面積が大きい利点を生かし、樹木や岩場など特に細部のディティールを描写したい場合に活躍します。また、大判カメラの中でも特に蛇腹が長く伸びるため、焦点距離の長い望遠レンズにも対応します。
ディアドルフ11×14を使用した主な撮影
・「佐渡-海底から原始の森へ」p46~p47、p102、p103、p104、p122、p144
・「ガラスの中の大自然」p52~p53、p56~p57、p58~p59、p62~p63、 等
4×5インチ判の約1.7倍(35mm判の約26倍)の描写力を持ちながら、4×5インチ判カメラとほとんど変わらない高い機動性を備えているため、世界三大熱帯雨林や日本の自然の撮影で主力となって活躍しています。レンズ選択の幅も広く、広角系から標準系、望遠系まで、さまざまな画角で撮影できます。また、横構図と縦構図の切り替えや、自在なアオリ操作で撮影もしやすいため、天野所有の中では最も撮影枚数が多い大判カメラです。
ディアドルフ5×7を使用した主な撮影
・「最後のアマゾン」空撮と水中写真を除く風景写真
・「佐渡-海底から原始の森へ」上記8×20・「11×14使用写真と水中写真を除く風景写真
・「ガラスの中の大自然」p175、p188、p217、p226 等
-
開催年:2010
『美しき新潟の風景』
水の駅「ビュー福島潟」(新潟) -
開催年:2009
"ACQUA SPETTACOLO E RISORSA
DALL'AMAZZONIA ALL'ISOLA DI SADO"
イタリア公文書館(ローマ・イタリア) -
開催年:2009
『佐渡原始杉』
富士フォトサロン(東京) -
開催年:2008
"SADO - a Natural Treasure of Japan"
カタール写真協会(カタール・ドーハ) -
開催年:2008
『誰も知らない佐渡写真展』
アミューズメント佐渡(新潟) -
開催年:2007
『誰も知らない佐渡』
新潟県民会館 -
開催年:2007
『佐渡—海底から原始の森へ』
東京都写真美術館 -
開催年:2006
『空撮・アマゾン』
新潟大和 -
開催年:2006
『創造の原点 アマゾン』
朱鷺メッセ(新潟) -
開催年:2006
『The Rio Negro』
丸の内さえずり館(東京) -
開催年:2004
『The Rio Negro』
発電所美術館(富山) -
開催年:2004
『誰も知らないアマゾン』
新潟市新津美術館 -
開催年:1998
『雨林有情』
富士フォトサロン(東京)





















